手放せば手放すほど尊敬される? 僕らの学習帳 vol.157
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手放せば手放すほど尊敬される? 僕らの学習帳 vol.157

ある文化や社会がどんな社会かを知るのに有効な一つとして、どんな人物が尊敬されているかを調べるというものがあります。

例えば、進学校で尊敬される生徒は成績の良い生徒でしょうし、野球チームで尊敬されるのは一番うまいプレーヤーでしょう。ヤンキーの中で一番尊敬されるのは喧嘩の強い人かもしれません。

こんなふうに、それぞれの文化によって尊敬される人が変化します。それは、重要とされる価値観が変化するからです。

それでは、日本という社会で尊敬されているのはどのような人でしょうか?これには人それぞれの答えがありますが、偉人といわれる人や、例えばドキュメンタリーで特集される人を見ていくと、1つの特徴が浮かび上がってきます。

それは、獲得した人です。

幼い頃からの目標を達成して名声を獲得した人、事業で成功して富を獲得した人など、何かを達成して、何かに成功して、獲得した人が尊敬される。それが日本社会といえそうです。

こういった人たちが尊敬されるのはとても自然なことに感じられます。もっといえば、常識であり、唯一の正解と感じられるかもしれません。

これが日本社会だとすれば、「プナン」の人たちは全く正反対の価値観を持っています。それは、持っていない人が最も尊敬されるというものです。

「プナン」という民族は、東南アジアで暮らす狩猟採集民族のことですが、彼らが尊敬しているのはものを持っていない人です。できるだけ持たない人が、尊敬を集めて、「ビッグマン」という皮肉か嫌味かのような名前を与えられます。

ビッグマンは、率先して自分の持っているものを周囲の人々にどんどん渡していきます。そうやってものを循環させ続ける姿勢が、ビッグマンが尊敬さるポイントです。

それに対して、持っているものを蓄えたり、自分1人のものにしようとする行為は、恥ずべき行為だとして、厳しい目を向けられます。そして、もしもビッグマンが自分の欲を優先しようとした場合は、一気に求心力を失い、尊敬されなくなり、持っていた影響力はなくなってしまいます。

このように、プナンでは持たないものが尊敬され、日本では獲得したものが尊敬されるという正反対になっています。

なぜこのような違いが出ているのか、その理由のひとつとして考えられるのが、食糧の獲得方法の違いです。

日本では古くから稲作を行っています。この稲作という食糧生産は、保管ができます。自分が作ったものを蓄えることができます。そうやって蓄えることによって長く生きることができ、より多くの家族を養うことが可能になります。

それに対して、プナンは狩猟採集民族です。そのため、食糧の保管が(ほとんど)できません。手にした獲物はその時に食べる必要がありますし、また、大自然の中での狩猟では食べ物が手に入らない時もあります。そうすると、持っているものを分け与える、蓄えずにどんどんと譲っていくという価値観が生まれてきます。

こうやって二つの社会を比べてみると、どちらも不思議な社会だというふうにも見えてきます。獲得することで尊敬される社会と手放すことで尊敬される社会。あなたならどっちの社会に惹かれますか?ぜひ一度考えてみてください。


今回の僕らの学習帳は、9月の本で遊ぶじかん2で扱った「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」からお話ししました。


こちらの本は、SUGOIで毎月開催している読書会「本で遊ぶじかん2」で扱ったものです。

誰もが参加できて、読書だけじゃなく、楽しい議論もできる読書会です。興味のある人は、ぜひこちらのnoteのマガジンをご覧ください。


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