
「我々の未来は我々が作るものだ。」 僕らの学習帳 vol.050
筆者は、2014年に、自著の宣伝旅行でロンドンを訪ねました。その旅行の最中の空き時間に、見学したロンドン科学博物館で見たものが筆者の心を強く動かしました。
その科学博物館では、スティーブンソンの蒸気機関車ロケット号から、T型フォードやアポロ11号月着陸船の実物大模型、さらには、あらゆるコンピューターなどが展示されていたそうです。
その博物館からホテルに帰る道すがら、筆者は涙を抑えることができなかったそうです。
それも、感動ではなく、悲しみの涙を。
人間はこれまで、自然を解明し、人間を解明し、それを機械で代用することに成功してきた。そして、蒸気機関車によって、馬車を時代遅れにし、コンピューターによって計算の得意な人間を時代遅れにしてきた。
さらに、筆者が想像したこの先の未来は、人工知能によって、人間そのものが時代遅れになる悲劇だった。
この悲劇を実現にしないために、筆者は具体的な行動を進めたのだった。それは、FLIというチームをより大きなもので、実行力のあるものにしようというものでした。
FLIとは、Future of Life(未来の生命研究所)の略称で、筆者が創設メンバーである団体です。
彼らの目的は、AIを有益なものにしようとする議論を研究者の中で進めることで、AIに関する懸念を実際の行動に移そうというものでした。
その行動が結実した1つが、「アシロマAI原則」です。
これはAIを有益なものにするための研究を行うという提言であり、現在では1000人を超える人に署名されているというのです。
数はもちろんのこと、そこの賛同者には、イーロン・マスクやスティーブン・ホーキングなどの著名人も数多く含まれています。
この本を通じて筆者がずっと訴え続けてきたことは、1つ。
未来は決まっていない。だからこそ、今から議論を始めよう、というものでした。
人工知能を恐れるだけではなく、どんな未来をどうやって求めるのか、それをみんなで話をし続けること。それが大切なのです。
筆者の最後の言葉をここで紹介して終わりにしたいと思います。
我々の未来は、石に彫り込まれていて起こるのをただ待っているのではない。我々の未来は我々が作るものだ。一緒に刺激的な未来をつくろうではないか!
今回の僕らの学習帳は、「LIFE3.0 人工知能時代に人間であるということ」のエピローグ「FLIチームの物語」から、お話ししました。
今回の話について、もっと詳しいことを知りたい人は、動画・音声をぜひ聞いてください。
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