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貧富の差の恐ろしさを、証明してしまったイギリスのコホート研究【3月の本で遊ぶじかん】

イギリスで1946年にはじめられた規格外の研究があります。イギリス出生コホート研究と呼ばれるその研究は、3月のある1週間に生まれた全ての赤ちゃんを追跡調査するというものでした。

その赤ちゃんの数がなんと1万7415人。

この無謀な科学プロジェクトは、何度も危機に陥りながら、21世紀になった現在も継続されています。

このコホート研究の対象者は70歳を超え、亡くなった人も出てきているなか、認知症と生活習慣の関係、若い時の運動能力と死因などについての研究が続いています。

このプロジェクトについてのノンフィクションがこちら「ライフ・プロジェクト 7万人の一生からわかったこと」です。


今回の「本で遊ぶじかん」では、この本を参加者の皆さんと一緒に読んでいきました。

そう書くと、まるでこういう研究や科学に興味がある人の集まりかのように聞こえるかもしれませんが、そうではありませんでした。

というか、この本を自分で手にとろうという人の方が少ない、そんな状況でした。それでも、イベント後のアンケートではこんなふうに答えてくれています。

今回の本、すごく難しいな〜と思って読んでましたが、こういう機会がない限り自分1人ではリーチしない類の内容を読めたので楽しかったです。
なかなか難しい内容でしたが、倫理について考えられるきっかけになり勉強になりました!


お二人とも、「難しい」と表現されている通り、難しい一冊でした。そんな難しい本から、「ファインスタイングラフ」というものを今回は紹介します。

ファインスタイングラフというのは、このコホート研究がきっかけで誕生したグラフで、貧富の格差がどれだけ問題かを残酷なほどにわかりやすく示してしまったグラフです。

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(「ライフ・プロジェクト」p222から引用)

横軸に月齢、縦軸に知能テストのランクのグラフとなっています。このグラフが表しているのは、次の事実です。生まれてすぐの頭の良さよりも、家の裕福さの方が将来の頭の良さに影響する。

それは、労働者階級(貧しい人たち)のなかで2歳時点で賢かった子たちと、上流階級(裕福な人たち)のなかで賢くなかった子たちを、比較したときに、5歳から7歳くらいの段階で、労働者階級の子どもたちは、上流階級の子どもたちに逆転されるというものです。

どういうことかというと、このグラフの上から2本目と3本目をみて欲しいのですが、このグラフがおよそ月齢76ヶ月(6歳くらい)で交差しています。

それは、高SES(上流階級)で2歳時に成績の悪かった子たちが、労働者階級の子たちを追い抜くことを示しています。


正直、残酷すぎるし、できれば信じたくない事実です。そして、信じたくないのはこのグラフが発表された当時も同じだったようです。

この発表を聞いた多くの人が、私は貧しかったけどこのグラフ通りにはならなかった、と反論したのです。

このグラフは統計上のグラフなので、例外は存在します。確実に。しかし、例外があるからオッケーと言ってはいけないはずです。それよりも、多くの子どもたちがこのような状況に陥る可能性があることを考えることの方が重要です。例外があると言うよりも、ずっと。

こんなふうに、科学研究の結果とどう向き合うべきなのか、もしくは、こういった追跡調査を倫理的にどう判断するのか、など。

いろいろな角度から、科学について考えるきっかけとなりました。


このように「本で遊ぶじかん」では、一人では読まない本を一緒に楽しむことのできる時間となっています。

ぜひ、一度遊びにきてください。必要なものは、ほんの少しの興味だけです。一人では読めない本も一緒だったら楽しく読めてしまいます。読書できるかどうかよりも、ほんの少しの好奇心だけ持って遊びに来てください。

最後にもう少しだけアンケートを紹介させてください。

多分、この機会がなければ絶対読みませんでした(笑) 自分が出会う意思がないものに出会う喜びや楽しさ、世界の広がりが魅力でした!
やっぱその時間中に各自のパート読み切って発表までするって臨場感あって楽しいな〜!と思いました。そして、みな優しくて、日々のあれこれでささくれ立っていた心が癒されました…!

(文章中のアンケートは、参加者の許可をとった上で掲載しています)


次回の本で遊ぶ時間は、こちらから参加できます。





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