
D2Cのなにが「ダイレクト」なのか 僕らの学習帳 vol.051
「パラダイムシフト」という言葉は、世の中の価値観が劇的に変化することです。つまり、D2Cというものが世の中の価値観を劇的に変化させたということでです。
では、どのように変化させたのか。シンプルにいうならば、伝統的なブランドの権威を失墜させた。そして、新興ブランド(D2Cブランド)が主流に躍り出た。
具体的には、2014年に5人の若者によって創業されたCasperというD2Cブランドは、その4年後には売り上げを400億円まで伸ばしました。そしてこのD2Cブランドの急成長が引き金となって、創業30年を誇る老舗企業が破産法の適用を申請しました。
しかもこれはマットレス業界だけではなく、スーツケース、メガネ、ひげそり、スニーカーなど、小売のあらゆる業界で起きていた地殻変動だったのです。
つまり、ビジネスの世界が、従来のブランドによる支配から、D2Cブランドへと変化しているのです。いま、まさに。
では、ここでいうD2Cブランドとはどういうブランドのことなのか、従来のブランドと何が違うのか。D2Cの定義を以下にあげていきます。
・「ものづくり屋」ではなく「テック企業」
D2Cブランドはプロダクトを販売している会社ではありますが、それ自体のクオリティによる差別化を狙っていません。それよりも、顧客のデータ分析やマーケティングデータなどを使った戦略が重視されるブランドです。
・「間接販売」ではなく「直接販売」
顧客のデータを蓄積しているD2Cブランドは、お客さんが過去に買ってくれたものをデータとして持っているため、去年買ったジャケットにこのパンツ似合いますよと進めることができます。この直接語りかけ、直接販売するところが、D2Cと言われる由縁です。
・「高価格化」ではなく「低価格化」
Directというだけあって、間に卸業者や小売業者を挟むことなく、ブランドが直接販売することによって、中間マージンを削除することが可能になっています。その結果、従来のブランドよりも圧倒的な低価格化が可能になりました。
・「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」
指数関数的成長とは、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍と増えていくような成長のことを言います。デジタルドリブンのブランドだからこそ、コツコツではなく、一気に爆発的な成長を志向することが多い。逆にそうしなければ、後発のD2Cに遅れをとってしまうこともあるとか。
・「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」
従来のブランドが販売していたのは、プロダクトであり、もっと言えば「機能」でした。しかし、D2Cが販売するのは、ライフスタイルです。旅のあるライフスタイル(スーツケースブランド)、睡眠を大切にするライフスタイル(マットレスブランド)など。それはつまり、「感情」を販売しているのです。
・「X世代以上」ではなく「ミレニアル世代以下」
D2Cブランドのターゲットは、「ミレニアル世代以下」と言われています。このブランドは、就職活動の前後で、リーマンショックに直撃。経済的な考え方が変わると同時に、社会運動などへの意識が高い世代でもあります。つまり、高価格なものよりも、より社会的に意味のあるものを求める世代です。
・「顧客」ではなく「コミュニティ」として扱う
D2Cブランドでは、お客さんを商品を買ってくれる人とだけ考えるのではなく、一緒に商品開発をしたり、改善をしたりするチームのメンバーだと考えます。
以上が、この本で挙げられているD2Cブランドの定義です。このように見てみると、たんに小売や卸をすっとばせばD2Cになるわけではなく、お客さんとの関係性、ターゲットとする世代、会社の中身などすべてが従来のブランドと違います。
今回の僕らの学習帳は、「D2C 「世界観」とテクノロジー」で勝つブランド戦略」の第1章「D2Cが生んだパラダイムシフト」から。(D2Cとは、Direct to Consumer(顧客への直接販売)という業務形態を表す言葉です)
今回の話について、もっと詳しいことを知りたい人は、動画・音声をぜひご覧ください。
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