
チョコレートの甘い秘密 僕らの学習帳 vol.025
僕らの舌はとても優秀です。苦味、甘味、塩味、酸味、そして、うま味を味蕾と呼ばれる、舌の上にある小さな器官で味わっている。
そのため、基本的に舌に問題がなければ味覚には問題がないはずなのだけれど、風邪で鼻が詰まっている場合、味覚をよく感じなくなってしまうことがよくある。
これは、鼻の嗅覚受容器が粘液で覆われてしまうからで、味わいのほとんどが嗅覚で体験されることを意味しています。
つまり、舌で味覚を刺激しながら、それと同時に香りを感じることによって、味わいを体験するというとても複雑な感覚の受け方を、僕らはしているのです。
そして、今回お話しするチョコレートは、その味わいだけでなく、嗅覚を刺激する秘密がたくさんあるのです。
チョコレートの原料となるカカオの木は熱帯気候で育ち、カカオポッドと呼ばれるカカオの実をつけます。
オレンジから紫色の果実のカカオポッドを割ると、その中から30粒から40粒くらいのカカオ豆が現れます。そうするとそのカカオ豆を地面に山のように積んで、腐るまで待ちます。
こうやって2週間ほどでカカオ豆が発酵すると、フルーティーな香りの元となるエステル分子ができる。
さらに、その後に発酵した豆を乾燥させて焙炒(ばいしょう)した時に、豆の中の炭水化物が熱によって分解されて、カラメル香味分子を作ってくれます。
さらに、高温になると、今度は糖とタンパク質との反応、メイラード反応が起きて、さらに、多彩な香味分子を作ります。
このように、発酵によるエステル分子、炭水化物の熱反応によるカラメル香味分子、メイラード反応による香味分子という風に、多彩な香味分子が次々と生まれて、その全てがチョコレートの中に包まれていくのです。
この多彩な香味分子のおかげで、口に放り込まれたチョコが溶けた時に、僕らはうっとりとするような甘味とともに、深い味わいを経験することができるのです。
今回の僕らの学習帳は、「人類を変えた素晴らしき10の材料」の第4章「『チョコレート』の秘密」から、お話ししました。
今回の話について、もっと詳しいことを知りたい人は、動画・音声をぜひ聞いてください。
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