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ラブレスに愛は生まれないのか? 僕らの学習帳 vol.123

ラブレスというタイトルそのままに、愛のなさを描き続けるのがこの映画です。さらに、ロシアの荒涼とした風景が、愛のなさをより強く印象付けます。

この映画を撮ったのは、アンドレイ・ズビャギンツェフというロシアの監督です。彼の作品に出てくる親は、いつも子どもたちに冷淡なのです。

というのも、彼の両親が離婚をしていることに影響があるかもしれません。彼の両親は離婚して、そのあと、父親に監督は一度も会えていないそうです。それだけではなく、彼の父親は、後妻との間に生まれた男の子に、アンドレイと名付けました。監督と同じ名前です。

それを知った監督は、自分が本当に捨てられたと思ったとインタビューで語っています。

この監督自身が受けた愛のなさはループをしています。というのも、監督自身も地元で結婚した相手と子どもを捨てているからです。

自分が子どもの時に父親からされたことを、そのまま自分の子どもに対しても繰り返してしまっているのです。この愛のなさのループが、「ラブレス」という映画にも現れています。


主人公となる夫婦の間には、すでに愛がなく、住んでいるマンションを売ろうとしています。離婚も秒読み段階となり、あとは一人息子をどっちが引き取るかという問題だけでした。

息子をどちらが引き取るか、いや、どうやって相手に押し付けるのかの言い争いを、息子は聞いてしまいます。自分がいらない息子であると知ってしまったのです。その翌朝、息子は学校に向かうふりをして、そのまま行方不明となってしまいます。

子どもが行方不明になったにもかかわらず、この夫婦は終始いいあらそいをして、捜索に真剣になっているようには見えません。さらに、お互いに、不倫相手のところに行っては、愚痴や不平不満を言いつのります。


愛のなさはこれだけではありません。息子がもしかしたら他の親類のところに行っているかもしれない、という話になり、この夫婦の唯一の血縁である、妻の方の母親を訪ねます。

しかし、この母親にもまた家族愛のようなものはありません。息子を探しに訪ねてきた夫婦に対して、さっさと帰れ、結婚には反対だった、息子を押し付ける気だろう、と怒鳴り散らします。

母親も、夫婦も、不倫相手たちにも、どこにも愛らしいものは見当たらないのです。ずっと雪が降り続けるロシアの大地のその冷たさを映し続ける画面は、最初から最後まで冷たく少し色褪せて見えます。それは、この世界に愛などないかのように、語りかけてきます。


ただ、それと同時に、登場人物の多くが、愛に飢えていることもまた真実です。妻の方は、私は愛することを知らなかったと寂しそうに訴え、夫は不倫相手に愛してるよ、と優しくささやきます。

愛のなさのループを、どこで断ち切れるのか。断ち切る強さをもっているのか。そんなことを問いかけてくる映画です。


今回の僕らの学習帳は、「映画には「動機」がある」の第9章「なぜ母は最後にベランダに出たのか?」から、お話ししました。


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