便利さを手に入れるために、私たちは何を失ったのだろう?【4月の本で遊ぶじかん2】
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便利さを手に入れるために、私たちは何を失ったのだろう?【4月の本で遊ぶじかん2】

私たちの身の回りのもので最も便利なものってなんだと思いますか?これがあるおかげで、あらゆるものが便利になり、あらゆることがスムーズになっているもの。

スマートフォン?パソコン?自動車?テレビ?電気?インターネット?

どれも違います。答えは、お金(貨幣)です。

お金がこの社会を驚くほどスムーズにしてくれているのです。ためしにお金のない社会を想像してみてください。

喉が乾いたから飲み物を買おうと思っても、お金がなければ、飲み物の分の労働か別の物を持っていくしかありません。

りんごを家からもってくるかもしれませんし、飲み物を持っている人にマッサージをしてあげるかもしれません。とにかく、相手が納得するだけの価値を出さなければいけません。

それを繰り返すとなると、ご飯ひとつ食べるのに、常に相手の欲しいもの・欲しそうな物を渡さなければいけません。時にはリンゴ1個とお魚を交換してもらえるかもしれませんが、リンゴが嫌いな人にはそれが通用しませんし、リンゴに飽きていたら相手はリンゴなんていらないので拒否するかもしれません。

とにかくとても不便です。この不便さを解消してくれているのがお金なんです。そして、私たちはこの便利さに慣れすぎてしまっています。

このお金の恐ろしいほどの便利さとその悪影響についても書いてあるのが、近藤康太郎さんの「アロハで猟師、はじめました」です。

この本は、東京生まれ、渋谷センター街育ちである新聞記者が、長崎県の諫早市で農家をやってみて、猟師をやってみる。その体験からの学びを言葉にしたものです。

そこには、動物の命を奪い食べるとはどういうことか、人が人を信頼するとはどういうことか、働くとはどういうことか、などの問いが詰まっています。

今回はじめて「本で遊ぶじかん2」に参加していただいた方は、こんなふうに表現してくれています。

話し合いでも出てきましたが、著者の人柄による人間関係がもたらす影響だったり、体験そのもののメッセージ性をより考えさせられました。

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著者が体験したもののひとつが、お金を媒介としない経済活動でした。お金はとにかく経済活動をスムーズにしてくれます。100円を持っていれば、100円と値付けされたものであれば、なんだって購入できます。

お前の100円は受け取れない、なんてことはありえません。しかし、これは同時に100円を払ってくれれば、誰でもいいということを意味しています。

この誰でもいいから、あなただからという経済活動にスライドさせるのが、贈与であり、お金を媒介としない経済活動です。

筆者は東京でずっとお金を媒介とさせる経済活動で生活していました。そして、それに疑問を持ってはいなかったのです。それが田舎(長崎県)では、全く違ったのでした。

経済活動のほとんどがお金を媒介としていながら、その数パーセント(人によっては数十パーセント)は、贈与で成り立っているのです。

そこには、あまったからもらっておいて、取りすぎたから、豊作だったから、ちょっとお世話になったから、いろんな理由で贈与が発生します。そして、そこには返礼はまた今度という暗黙の了解があります。

お米をもらったから、お米の代金を払うのではなくて、違うタイミングで「同じくらい」の価値のものをお返しします。庭の草むしりだったり、猟で取れた鴨肉だったり、障子の修理だったり、人によって様々です。

そこには正解がありません。とにかくこれだろうって「ちょうどいいところ」を探すしかありません。とても面倒くさいです。でも、それをお金で簡単に済まさない。そこにプライドがあります。

逆にそこでお金で済まそうとすることは、かっこ悪いと考えられるようです。

それは、お金のやりとりなんて誰でもできる野暮なことはやめて、お互いのいいところを探そうよという、生暖かい人間関係が見え隠れします。そして、それこそが、私たちがお金に頼り切るようになって失ったものです。

あの人には何を渡そうか、何がちょうどいいかな、これってどれくらいの価値なんだろう、そして、あの人にとってこれはどれくらいの価値なんだろう。

答えのない問いが生まれます。正しいも間違いもありません。ただ、それを諦めるなと、贈与経済は私たちに訴えてきます。この面倒くさい感じが、人と人を結びつける接着剤になってくれるのです。

お金のやり取りでないからこそ、生まれる人と人のつながり。都会で暮らす人が、現代のほとんどの人が忘れてしまっている関係性。それをもう一度思い出させてくれる本でした。

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このように「本で遊ぶじかん2」は新しい問いを持つきっかけにもなる読書会です。ぜひ一度遊びに来てください。

次回の本で遊ぶじかん2は、こちらのリンクからお申し込みできます。


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