
【7月の本で学ぶじかん】文章が描けるようになる最も簡単な方法
文章の書き方については、たくさんの本が出されています。ありとあらゆる方法論が出ています。
ただその文章論の多くが、ある程度かける人向けのものであるような気がしていました。もっと簡単で基本的な、文章をかけない人が書くために基礎運動のようなものはないか、と。
探し続けて見つけた一冊がこちらでした。
もともと理系出身で、文章とは無縁の生活を送ってきた会社員の山崎さん。入社3年目の彼がぶつかった壁。
言葉にしなければ伝わらない、だけど言葉にできないし、文章にはアレルギー反応(?)が出てしまうというものでした。このコンプレックスを、1日5個のメソッドを教授から教えてもらいながら、合計25個のメソッドによって、成長していくというお話しです。
文章全体は、物語形式になっていてかなり読みやすいです。さらに、それぞれのメソッドはためになるものばかりでした。そんな中から、特に面白かったものを、5つ紹介したいと思います。
今回取り上げるのは、こちらのメソッドです。
Day1 頭の中にあるものを知る
method2:形容詞をいったん自分の中から消そう
Day2 考える習慣をつける
method6:「人の頭で考える」クセをつけよう
Day3 論理的に発想する力をつける
method15:ゴールから考えて、見えていないところを明らかにしよう
Day4 考える習慣をつける
method16:書くときも話すときも、40文字を意識しよう
Day5 言葉に説得力を持たせる
method25:「ありがとう」をいまの5倍使うようにしよう
Day1:言葉はすでに、頭の中にあることを思い出す
Day1で取り上げるメソッドは、形容詞を使わない、というものです。
たとえば、何かを食べた時に真っ先に出てくるのは「おいしい」、気持ち悪いものを見たときの反応は「キモい」、めちゃくちゃおいしいものを食べたときの言葉は「ヤバイ」、突然の大雨を目にしたときには「ヤバイ」、遅刻しそうな時に限って電車が遅れている時は「ヤバイ」、大好きなアイドルの頑張っている姿を見たときは「ヤバイ」
全て形容詞です。これでは、起きたことに反応して、感想を伝えているだけなので、これ以上、言葉を続けることができません。
そこで必要なことは、形容詞をつかわないこと。おいしいと言わずに、「何が」おいしいのか、「どのように」おいしいのか、「なぜ」おいしく感じるのか。それを言葉にする練習をするのです。
言葉が出てこないということではなく、形容詞に頼りすぎているせいで、そのほかの言葉に出る幕がない状態です。
だからこそ、形容詞をあえて禁止することで、それ以外の言葉が活発化します。そうすると、自分の頭の中にある言葉と出会うことができます。
Day2:自分の頭で足りなければ、人の頭を使う
さて、自分の頭の中にある言葉が出てくるようになった次は、それをさらに倍増させる方法です。
自分の頭の中にある言葉もアイデアも発想力も、そんな簡単に増えてはくれません。かといって、それが増えるまで待ってくださいと言えないものです。なので、瞬間的に増やす必要があります。
それに最も効果的な方法が、人の頭を使う、です。
アイデアでも言葉でも、自分の頭で考え尽くした後に、同僚や部下や先輩だったら、同級生だったら、先生だったら、上司だったら、どんな言葉をアイデアを考えるのか想像してみてください。
言葉は出来るだけシンプルな方がいいと言っている上司なら、できる限り無駄を削ぎ落とそうとするでしょうし、一瞬で伝えたいことがわかる方がいいと考えている同僚なら、目立たせるための工夫をするでしょう。
このように、身近な人の発想を借りることで、即座に、アイデアや言葉が倍増してくれます。ポイントは、自分だけで全部考えようとしない、ということです。
Day3:嘘でもいいからゴール地点に立ってみる
自分の頭と他人の頭を使えるようになったら、あとは細部を詰めていくだけです。足りないところ、わかりにくいところをどんどんと補強していきましょう。
と言われても、何が足りないかを把握するのはかなり難しいです。できた気になってしまうこともあるし、逆にまだまだ全然できていないって気になることも。
そんな時に大切なことは、客観的に自分の状態を把握することです。とはいっても、「客観的に把握する」というのがどうすればできるのかがよくわからないですよね。
そのために必要なことは、まずゴール地点に立ってみる、です。
プレゼンの準備をしているなら、本番を想定してスピーチをしてみる。文章を作ろうとしているなら、本番と同じように書き出してみる。
そうすると、つまづいたり、書けなかったり、いろんな穴がどんどん見えてきます。勘違いしていたところ、見落としていたところ、思考が甘かったところ。たくさんの穴が見つかれば、あとはそれを防ぐだけです。
この本番と同じように、の状態でトライしてみるのがとても大切です。そうすることで、細かいミスにまで気づくことができます。立ち止まるより、まずはやってみて失敗することが大切です。
Day4:40文字のひとかたまりを作ってみる
ここまでくると、基本的な文章はかけるようになってきますが、良い文章となるにはどうしてもリズムが必要です。
このリズムやペースというものは、文章をたくさん読んで、書いて、徐々に身につけていくものだと思いますが、この本には裏技が書いてありました。
それが、40文字を意識することです。
人は、文章を読んでいる時も呼吸を意識します。あまりに長い文章だと苦しくなる感覚を覚えます。そして短すぎる文章だと、ハッハッと速い呼吸をしているような気になります。
この呼吸を意識して、リズムを作っていくと誰にとっても読みやすいものになります。そのポイントが40文字です。
だいたい、人は4〜5秒に一回息継ぎをします。この秒数にちょうど当てはまる文字数が、40文字なのです。つまり、40文字で書かれた文章は、一息で読めるために、苦しくもなく早くもなく、自然な呼吸になります。
この自然な呼吸に載せることで読みやすい文章になっていくということです。
Day5:言葉を伝えるために必要な言葉
文章を読んでもらう、スピーチを聞いてもらう、もっと日常的なシーンでいうと会話をする。この全ての場面に必要なものが相手です。
相手がいなければ、いくらいい文章も、スピーチも、会話も成立しません。空に向かって叫んでいるのと変わりありません。
だからこそ、何かを伝えるためには、伝える相手のことも考えないといけないのです。
そのための方法が、「ありがとう」を5倍使ってみるという考え方です。感謝や愛情などの言葉は、言わなくても伝わる、態度で伝える、言わない方が格好いい、という美学が存在しています。
しかし、それで本当に伝わっているのかどうかは、怪しいものです。たとえ言葉にしたとしても、伝わっていないことや誤解を生むことがたくさんあります。ましてや、言葉をつかわずに感謝を伝えようという方が難しいかもしれません。
だったら、素直に、照れることなく、感謝を伝えましょう。その目安が5倍、というものです。言い換えれば、私たちは本来いうべき「ありがとう」の8割を言えてないということです。
日頃からありがとうを積極的にいうことで、相手との関係性はよくなり、そして、自分の言葉が相手に受け止めてもらえる可能性が高くなります。そういった日頃からの小さな積み重ねが、大切ということです。
CO-ENメンバー募集中!
このようにとてもシンプルな方法ですが、確実に文章への向かい方を変えてくれるメソッドを5つ紹介しました。残り20個も大変ためになるものばかりですので、ぜひ本を読んでみてください。
さらに、この本の内容を議論して、よりわかりやすく噛み砕いていく時間が、「本で学ぶじかん」です。
こちらのイベントは、SUGOIのnoteのサークル「CO-EN」限定で行っております。興味のある方は、サークルをぜひ覗いてみてください。