
近代科学の誕生は、ガラスのおかげ 僕らの学習帳 vol.028
ラパートの滴という特殊なガラスを知っていますか?形は、親指大くらいの涙のような形をしたガラスの粒です。この滴の頭の部分、涙でいうと下の丸みの部分は、とてつもなく硬いものです。
どれくらい硬いかというと、金槌で叩いても砕けませんし、ものによっては銃弾でも壊れないほどです。
しかし、その一方で、滴の尻尾の部分、涙でいうと上の方の細長い方は、とてももろく、少しでも傷つけると、滴全体が砕け散ります。
このとてつもなく強化された状態を強化ガラスに応用し、その一方で粉々に砕けやすい部分は、事故の時のフロントガラスで人が怪我をしないように応用することができる。
このように現代ではいろいろな形でガラスが応用されていますが、最初にこのガラスを生活の中に取り入れたのは、ローマ人でした。
彼らはガラスの製法を発見するとガラス窓が作られ、鏡が作られ、さらにはワイングラスが作られるようになりました。
さらには、ステンドグラスによって教会建築の装飾を大きく変えていきました。ちなみに、東洋ではこのガラスの輸入はされていたにも関わらず、制作への思いはそれほど強くなかったらしく。
つい最近まで日本の窓は、紙でできていました(障子やふすま)。さらに、器は主に陶器でできていました。そして、宗教的な建築は木材で。
このように、材料の違いによって、西洋と東洋は大きく違う道を歩んでいくこととなるのでした。
そして、ガラスを活用し始めた西洋が、東洋との文化と決定的に異なったのが、顕微鏡と望遠鏡でした。
顕微鏡が、化学の世界に決定的に大きな可能性を開き、望遠鏡が、宇宙への視野を開いたのは、間違いないように思われます。
この2つの見る道具によって、ミクロの世界に別の秩序を発見し、地球の外側に別の世界を、「見る」ことができるようになったのでした。
このガラスの活用が直接的に、西洋の科学の進歩を決定づけたのかどうかはわかりませんが、それでも、重要な役割を担っていたように見えます。
このガラスというとてもシンプルに見える材料の発明によって、科学が誕生したというと大げさかもしれませんが、それでも、西洋の文化に大きな影響を与えたことは間違いなさそうです。
今回の僕らの学習帳は、「人類を変えた素晴らしき10の材料」の第7章「なぜ『ガラス』は透明なのか」から、お話ししました。
今回の話について、もっと詳しいことを知りたい人は、動画・音声をぜひ聞いてください。
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